JavaScriptプログラミングにおけるベストプラクティス
この記事ではJavaScriptプログラミングにおけるベストプラクティスについて説明します。
具体的なコード例とともに、JavaScriptの主要なベストプラクティスを紹介します。
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JavaScriptプログラミングにおけるベストプラクティス
プログラミングでは、単に「動くコード」を書くだけではなく、メンテナンスしやすく、効率的で、信頼性の高いコードを書くことが大切です。「ベストプラクティス」を意識することで、他の開発者が理解しやすく、保守や拡張が容易になり、結果としてバグの削減やパフォーマンスの向上にもつながります。
コード例とともに、JavaScriptの主要なベストプラクティスを見ていきましょう。
変数名と関数名はわかりやすく、説明的にする
コードを見ただけで、その変数や関数が何を意味するかを理解できるようにします。短縮した名前や略語よりも、説明的な命名を優先できます。
悪い例
1/* Bad Example */
2let x = 10;
3function fn() {
4 // ...
5}xやfnのような名前では、コードの意図が不明確です。
良い例
1/* Good Example */
2let totalItems = 10;
3function calculateDiscount(price) {
4 // ...
5}totalItemsやcalculateDiscountのように、意味を持つ命名を行うことで、読み手の理解を助けます。
const / let を使い、var は避ける
varはスコープや再宣言の問題を引き起こしやすいため、常にconstまたはletを使うことが推奨されています。
悪い例
1/* Bad Example */
2var count = 5;varは関数スコープで動作し、予期せぬ再宣言や巻き上げ(hoisting)を引き起こします。
良い例
1/* Good Example */
2let count = 5; // Reassignable
3const MAX_COUNT = 10; // Not reassignable
letとconstはブロックスコープで安全に扱えるため、より予測可能で安定したコードになります。
適切なコメントを使う
{^ i18n_speak 単にコードの動作をそのまま繰り返すコメントではなく、コードの「目的」や「理由」を説明するためにコメントを使います。^}
悪い例
1/* Bad Example */
2let a = 100; // assign 100 to a
良い例
1/* Good Example */
2// Initialize the maximum value to 100
3let maxItems = 100;- 「何をしているか」ではなく「なぜそれをするのか」を説明するコメントを書くことが望ましいです。特にロジックが複雑な箇所では有効です。
DRY (Don't Repeat Yourself) 原則に従う
同じ処理を繰り返し書くのではなく、関数やクラスで共通化します。重複を減らすことで、メンテナンス性が高まり、バグの発生も抑えられます。
悪い例
1/* Bad Example */
2let totalPrice = price * quantity;
3let discountedPrice = (price * 0.9) * quantity;良い例
1/* Good Example */
2function calculatePrice(price, quantity, discount = 0) {
3 return (price * (1 - discount)) * quantity;
4}
5
6let totalPrice = calculatePrice(price, quantity);
7let discountedPrice = calculatePrice(price, quantity, 0.1);- 重複している処理を関数にまとめることで、変更や修正が一箇所で済みます。これは大規模開発で特に重要です。
関数は単一責任で、副作用を最小化する
1つの関数は1つの明確な目的を持つようにします。また、グローバル変数の変更や外部状態の書き換えを避け、副作用を最小限に抑えましょう。
悪い例
1/* Bad Example */
2let total = 0;
3function addItem(price) {
4 total += price; // modifies external state
5 console.log('Item added');
6}良い例
1/* Good Example */
2function calculateTotal(items) {
3 return items.reduce((sum, item) => sum + item.price, 0);
4}- 関数が副作用を持たない、すなわち同じ入力なら同じ結果を返すように設計すると、テストが容易で信頼性が高まります。また、再利用性やデバッグのしやすさにもつながります。
エラーハンドリングを行う
予期せぬ入力や例外が発生しても、アプリがクラッシュしないようにしましょう。try...catch構文を使うことで、適切にエラーを処理できます。
悪い例
1/* Bad Example */
2let data = JSON.parse(inputData);良い例
1/* Good Example */
2try {
3 let data = JSON.parse(inputData);
4} catch (error) {
5 console.error('Failed to parse JSON:', error);
6}JSON.parse()はエラーを発生させる可能性があるため、try-catchを使って安全に処理します。エラーハンドリングを徹底することで、堅牢なアプリケーションを構築できます。
構造化されたログを出す
システムの動作を追跡しやすくするために、ログは一貫した形式で出力しましょう。JSON形式のログを使うと、解析や監視ツールで扱いやすくなります。
悪い例
1/* Bad Example */
2console.log('Error occurred!');良い例
1/* Good Example */
2console.log(JSON.stringify({
3 level: 'error',
4 message: 'Database connection failed',
5 timestamp: new Date().toISOString()
6}));- 単純な文字列ログでは情報が失われやすいため、構造化ログを使うことで、ログの解析や可視化、監視が容易になります。特にサーバーサイドJavaScript(Node.js)では有効です。
コードの可読性を高める
コードは他人(または将来の自分)が読むものです。適切なインデントや改行、スペースを入れ、見やすく整えましょう。
悪い例
1/* Bad Example */
2if(a===b){doSomething();}良い例
1/* Good Example */
2if (a === b) {
3 doSomething();
4}- 可読性を意識して整形されたコードは、理解が早く、バグの発見もしやすくなります。一行に詰め込むのではなく、構造を視覚的に明確にしましょう。
セキュリティを常に考慮する
JavaScriptはWeb環境で動作するため、セキュリティ意識が欠かせません。ユーザ入力の検証、XSSやCSRF対策、依存パッケージの更新を常に意識しましょう。
悪い例
1/* Bad Example */
2// Directly inserting user input into HTML (vulnerable to XSS)
3element.innerHTML = userInput;良い例
1/* Good Example */
2// Use textContent to prevent XSS attacks
3element.textContent = userInput;- ユーザー入力をそのまま扱うと、スクリプトインジェクションなどの脆弱性を引き起こす可能性があります。安全なAPIを使用し、常にデータを検証・サニタイズすることを習慣にしましょう。
コードのテストを行う
自動テストを導入することで、バグの発見・防止が容易になります。JavaScriptではJestやMochaといったテストフレームワークがよく使われます。
例
1// Simple test using Jest
2function sum(a, b) {
3 return a + b;
4}
5
6test('adds 1 + 2 to equal 3', () => {
7 expect(sum(1, 2)).toBe(3);
8});- テストコードを用意することで、機能追加や修正時にバグが再発しないことを確認できます。継続的な品質保証のために、テストは欠かせません。
まとめ
ベストプラクティスに従うことで、コードの品質・保守性・信頼性を大きく向上させることができます。JavaScriptを学ぶ際は、文法だけでなく「良いコードの書き方」を意識して習慣化することが大切です。継続的に学ぶことで、自分のコードをより読みやすく、安全で効率的なものにしていけます。
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